インド旅日記

インド旅1ヶ月(スマホ無しで57歳の男が旅してきました)

インド旅26

私のインド旅はデリーに到着した朝に、あるインド人に「インディアン・トラベル・センター」という旅行会社に連れて行かれたところから始まった。私が日本で時間をかけて準備した旅行計画をその旅行担当者があっという間に作り替えられてしまった。私の計画はアバウトなもので行く先々で宿泊も交通手段も臨機応変に変えられるものだった。とにかくブッダガヤ、ガンジス川コルカタの方からブータンの方へそしてヒマラヤ山脈を間近に見れたらいいなあと思っていた。とにかく固定化されたパック旅行はしたくないと思っていたからだ。しかし、そんな風に担当者に説明すると笑いながら「あなたはインドを知らない。私が最高の1か月インド旅行計画を作ろう」と言った。

今考えればインドのことをほとんど知らずにやってきた私を説得するのは赤子の手をひねるのと同じくらい簡単だったろう。彼らはまず私に1か月の旅行にかかる費用を高く提示するために私の訪れる町を大幅に増やした。南のムンバイまで行くこと、そして列車だけでなく飛行機の利用も勧めてきた。行かないのはもったいないと言われるとだんだんその気になっていった。結局、相手の言う金額を何の根拠もなく受け入れ、カードで支払ってしまったのだ。

あとは彼らがすることは簡単である。儲けを増やすために安いホテルばかりを選び、市街地のホテルを予約していた。これには別の理由もあった。他の日本人と会って情報が私に入るのを防ぐためでもあった。旅行内容の欠点をばれたくなかったのだ。たとえば列車予約がキャンセル待ちの状態のままのものもあった。駅通しの連絡がない所やムンバイ空港への移動はいくつも乗り換えが必要だった。そういうことを何の説明もせずに簡単な旅行行程だけで私を送り出したのだ。眠ることができないような暑いホテルもあったし、ひどかったのは深夜に到着したのにホテルの事前予約を旅行会社が入れておらず、ホテルの玄関でずっと待たされたこともあった。

インドの旅が私の最初の計画とはかなりかけ離れたものになったが、結果としてはいろんな経験ができた。自分の計画で旅していたらここまで広範囲で周ることは無理だったろう。ハラハラドキドキの緊張感、不安と恐怖で眠れない夜、経験したことのないほどの待ち時間、英語で本気で相手と言い争いをしたこと等こんな経験ができたのはあのインディアン・トラベル・センターのおかげではなかったかなとも思うのだ。

f:id:gokuroumaru:20180521104818j:plain

ホテルなのになぜか鉄格子?!